大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和58年(行ケ)120号 判決

一 請求の原因一ないし三の事実、審決摘示に係る引用例の記載及び本願考案と引用例記載の考案との相違点は当事者間に争いがない。

二 そこで、原告主張の審決取消事由について検討するに、引用例には審決指摘のほか、別紙図面(二)に示すように、円筒状套管(8)をその開放端で背面方の内側角柱(1′)に組付けて固着し連結部(7)を閉塞する蓋片(15)を付する構成が記載されていることは当事者間に争いがない。しかし、本願考案の登録請求の範囲及び考案の詳細な説明の項には、引用例記載の考案の蓋片(15)の位置に相当する円筒状套管(13)の背面側端部の具体的構成についてなんら記載されていないから、本願考案の円筒状套管(13)の背面側端部の構成には限定がないものというべきである。原告の指摘する本願考案の登録請求の範囲の記載によるも、円筒状套管(13)がどのような構造で摺動駒片(11)の節度突起(12)を後方へ突出するように保持しているのか明らかでなく、円筒状套管(13)と節度突起(12)との関連構成について具体的な限定がされているものと認めることはできない。もつとも、成立に争いのない甲第二号証によれば、本願考案の明細書の第三図(別紙図面(一)に同じ)には、円筒状套管(13)自体で摺動駒片(11)の飛出しを阻止するように、円筒状套管(13)の背面側端部をその套管本体より小径として本体と一体に形成したものが記載されているが、右は本願考案の一実施例にすぎないから、本願考案の円筒状套管(13)の背面側端部の構成はこれに限られるものではなく、成立に争いのない甲第三号証(引用例)の第三図(別紙図面(二))のように右円筒状套管の背面側端部に別体として蓋片を固着したものをも排除していないものということができる。

したがつて、原告主張の審決取消事由は理由がないものといわざるを得ない。

三 そして、原告主張の右相違点及び審決摘示の相違点を除き本願考案と引用例記載の考案に構成上の差異がないことは原告の明らかに争わないところであり、前掲甲第二、第三号証によれば、審決摘示の相違点が当業者の適宜設計し得るところであり、両者の構成の差による効果に格段の差がないことは審決の認定判断のとおりであると認めることができる。

そうであれば、両者の考案は実質的に同一であるとした審決の判断は正当である。

四 よつて、原告の本訴請求を失当として棄却する。

〔編註その一〕 本件考案の登録請求の範囲は左のとおりである。

次第に大きさを異にした角柱(1)・(1′)を折畳可能に連関嵌挿した箱尺体(A)に於いて、内側角柱(1′)の下方部に正面中心線上に正面方を小径とした異径孔を穿設し、該両孔に削径突部(9)を形成した短筒状受管(8)を正面部(4)、(4′)の背面方より密嵌挿し、その内空に圧縮バネ(10)を介在せしめた摺動駒片(11)の節度突起(12)を後方へ突出せしめた円筒状套管(13)を前記短筒状受管(8)の内側へ嵌入した連結部(7)を装着すると共に、外側角柱(1)の上方部に前記節度突起(12)の嵌合する横方向に長孔とした係合孔(15)を設けたことを特徴とする箱尺(別紙図面(一)参照)。

〔編註その二〕 本件に関する図面は左のとおりである。

第一図面

<省略>

第二図面

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!